寒冷地では給水管の水抜きが必要です。また、宅内や屋外の給水配管に凍結防止ヒーター(凍結防止帯)を設置します。
ですが、この防止帯、冬場の電気代が高いんです。水抜きや凍結防止帯がいらない住宅仕様を考えます。
外気温0℃以下になると配管にある水が氷になります。氷になると体積が倍になり、膨張するので配管を壊します。保温材が配管に巻いてあっても無駄です。
その対策のため、凍結防止ヒーター(凍結防止帯)を給水管に取り付けたり、長期外出する場合やヒーターが使えない夜を越すときには、配管の水抜き作業が必要になります。
夜間だけならいいやと思い、蛇口を少し緩め、ちょろちょろお水を流して対処することもありますが、これは博打です。流れている分には水が凍ることはないのですが、想定していたより寒かった場合、凍結して配管を壊すことになりかねませんので、おすすめはしません。
凍結防止帯のコンセントを付け忘れたり、ヒーターが使えなかったり、水抜き作業を怠ってしまおうならば、水道管が爆発し、高額な修理費用が待ち構えています。
そうならないように、新築時にできる限り、凍結防止帯や水抜き作業を必要としない給水設備を考える必要があります。
凍結防止帯を不要とする住宅仕様
凍結防止帯は電熱線で配管を温め、配管内にある水を凍らないようにします。そのため、配管の長さ、蛇口の数によっては電気代がものすごくかかります。
30坪の家で一ヶ月約15,000円だわん!
電熱線で温める以外に、人が生活している屋内であれば、配管内にある水が凍ることはありません。
そのようするには、以下の住宅仕様とする必要があります。
基礎断熱
家の床の断熱は床断熱と基礎断熱の2種類あります。
この違いは色んなサイトでたくさん書かれているので、割愛しますが、要は床の下が外か内の違いです。
給水管は床の下に配管されています。その配管が室内にあるか屋外にあるかで、凍結防止帯を必要とするかが決まります。
凍結防止帯を不要とするには基礎断熱が必須条件になります。
そうすることで、床下の部分は屋外ではなく、室内になるので、凍結することがありません。
高気密高断熱
室内で空調した温度を外に逃さないようにすることで、光熱費を抑えることができます。今どきの住宅設計では当たり前の仕様ですね。
C値は0.5以下、断熱等級は4以上がおすすめです。なぜ、この数値なのかは次の床下エアコンで記載します。
C値が大きいと外部との隙間が大きくなるので、せっかく室内を空調しても外気の熱が侵入してきたり、室内の熱が逃げていってしまいます。
断熱等級は各地域ごとでUa値が異なってきます。ZEH基準とする場合、断熱等級は4程度になるので、この数値くらいが良いかもしれません。
全熱交換型第一種換気
できれば、全熱交換型の第一種換気がよいですが、第一種換気だけでも良いと思います。
第3種換気では寒い時期には冷たい外気が室内に入ってきます。熱交換型の第一種換気では、外の冷たい空気と室内の温かい空気の熱を交換するので、寒くなりません。
外気温0℃の空気を暖めるより、14℃の空気を暖めるほうがエネルギーとしては無駄がないですよね。
全熱交換器には「顕熱型(けんねつがた)」と「潜熱型(せんねつがた)」がありますが、温度だけ交換するのであれば「顕熱型」、湿度も交換したい場合は「潜熱型」になります。価格は潜熱型のほうが高価になります。
床下エアコン
床下エアコンは「基礎断熱」「高気密高断熱」「第一種換気」が大前提になるやり方です。
床下は室内空間と一緒の考えなので、底冷えさせない空調方式です。床暖房ほどではないですが、簡易的な床暖房としても利用できます。
洗面脱衣室に設置すれば、脱衣する空間が寒いということが少ないです。
C値は0.5以下、断熱等級は4以上でなければ、床下エアコンを設置してもこの恩恵を得られません。
ただ、床下エアコンを設置しなくても「基礎断熱」「高気密高断熱」にすれば、凍結することがないんです。
給湯器
給湯器が屋外にある場合、その箇所に凍結防止帯を設置しなければなりません。
室内設置型の給湯器であれば、凍結防止帯はいりません。
LPガスや都市ガス、灯油共に屋内設置可能な給湯器があります。FE式とFF式の2種類があり、主流はFF式です。
なるべく生活感を出さないように計画しないと、残念な感じになってしまうので、要検討です。
エコキュートで凍結防止帯を不要にできる?
エコキュートの場合、どうしても凍結防止帯は必要になります。貯湯式のタンクを宅内に入れても、室外機の部分に給水管が引き込まれています。
タンクと室外機全てを宅内に入れて、凍結させないようにすることは技術的に難しいそうです(日立エコキュート販売店の技術者さんからお聞きしました)。
というわけで、エコキュートにも凍結防止帯は必須です。
変更した間取り
灯油タンク(ホームタンク)はガソリンスタンド屋さんに宅配してもらうため、駐車場側に設置します。
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