東京圏に限りませんが、土地探しをしている中で、買ってはいけない土地、できれば買わないほうが良い土地があることに気づきます。
買ってはいけない土地
土地探しをする中で、条件の悪い土地は人気がありません。しかし、実は、買ってはいけない土地というものは存在しません。
土地に求める条件は人それぞれであり、人気のない土地は安くなっているため、費用面と実用面を天秤にかけて考えるとお得に購入できることもあるからです。
それでも、デメリットを知らずに購入すると後悔するので、土地選びに失敗しないようにまとめてみました。
買ってはいけない土地の条件
私が考える自家用として買ってはいけない土地の条件は以下です。あくまで「私なら買わない」というだけなので、実際には価格とのバランスで検討してください。
都内中心に土地を見てきたため、東京圏以外はもっといろいろな条件が付加されるでしょう。
ちなみに、私は井戸があって怖いとか、風水で方角が悪いとか、そういう迷信的なものは全く信用していませんので、その手の記事ではありません。
都内での土地の探し方については、下記の記事もご参照ください。
買ってはいけない理由
それぞれの条件について、買わないほうが良い土地だと思う理由を簡単に説明します。
前面道路の問題
前面道路とは、土地の前にある道路です。角地など、2方向以上の道路に囲まれている土地もあります。前面道路によって土地の価値は大きく変わります。
前面道路が4M未満
建築基準法上、公道か私道かを問わず、前面道路は4M以上の幅が必要であり、かつ、道路に2M以上土地が接していなければ家を建築することはできません。
前面道路が4M未満の土地は、建築基準法改正前の古い土地が多く、道が狭くて車の乗り入れがかなり難しくなります。
今は車は使っていない、軽自動車だから問題ないなどの理由があっても、ペットを飼ったり、自分が高齢になれば車が必要になってくることも多く、軽自動車以外も必要になるケースもあるでしょう。
車庫入れの難易度も相当程度上がるため、車庫入れのたびに、大きなストレスを抱えることになるでしょう。
道路沿いの家が建替える際には、セットバックして4M道路になるでしょうが、すべての家の建替えが終わるまで何十年とかかることも多く、最初から、前面道路が狭い土地の購入はおすすめしません。
また、前面道路に続く道路については、通行するだけですので、幅3M以上あれば問題ありませんが、カーブの時に曲がれなかったり、自転車やプランターなどの障害物が置かれていたりするので、前面道路へ続く道もチェックが必要です。
前面道路が私道で持分なし
前面道路が私道であっても、自分の持分があれば、道路メンテナンスなどの費用はかかりますが、将来的な通行は問題ありません。
前面が私道で持分なしの場合、前面道路は完全に他人の土地です。つまり、他人の土地を通過して自分の家に入らなければならなくなります。
私道が公道に出るための唯一の道路である場合、他人の私道といえども、通らなければ家に入れない場合には、通行権が認められています。
また、水道管やガス管などのライフラインは、通常、私道のオーナーからの掘削同意書や承諾が必要ですが、令和3年の民法改正(改正民法213条の2第1項)において、私道持ち主の承諾なしに工事が可能となりました。
今の私道のオーナーは良い人だし、通行も認めてもらっているから問題ないというケースも多いと思います。
しかし、私道の維持管理のための費用は、私道所有者が負担しているため、私道の修繕費などは、当然に利用者に請求されることがあります。私道に埋設したガス、水道管が、災害等で破裂した場合、私設管で行われていれば、国や地方自治体は直してくれません。
また、私道オーナーが変わり、車の通行を認めてくれなくなった、通行に利用料がかかるようになった、などのトラブルも散見されます。
売主の不動産業者は、「私道の通行を認めること、ライフラインの工事を認めること、第三者への譲渡した場合も引き続き認めること」などの覚書を私道所有者かもらっているので、安心ですよと納得させるかもしれません。
しかし、実際には、この覚書に法的な拘束力はなく、第三者へ私道が譲渡されると適用されません。
通行においてのトラブルを、法的に回避するためには、「通行地役権」を私道所有者に設定してもらうことです。そして、通行地役権を「登記」することで、将来、私道の所有者が変わっても、土地を売却した際にも、永遠に通行権が確保できることになります。
通行地役権に自動車の通行権を入れるのを忘れないでください。
通行地役権まで登記されている土地であれば、道路の修繕費用は発生するものの、安心して住める土地と言えるでしょう。
逆に、通行地役権がない土地の場合、私道だけに面している土地は購入しないほうが無難です。土地の売主と私道の所有者が別々であることも多く、通行地役権のハードルは高いため、売主の不動産会社によく確認しておきましょう。
旗竿地
旗竿地は上の写真のように、道路に接している入口部分が狭く、その奥にまとまった敷地がある土地です。旗(ハタ)と竿(サオ)に見えることから「ハタザオチ」と呼ばれています。
都内では、このような形状の土地がよく売り出されており、目にする機会も多いと思います。土地不足の都内でよく目にするということは、売れ残りが多いからとも言えます。それだけ旗竿地は人気がありません。
竿の幅は、前面道路に最低2M以上接している必要がありますが、都内では幅2Mギリギリの土地も少なくありません。建築基準法上、家の建設自体はできるものの、幅2Mでは軽自動車でも停めることが難しく、実質竿部分の土地は、無駄な空間となってしまいます。
旗竿地には以下のデメリットがあります。
逆にメリットとしては、「通行人からの視線を気にしなくて済む」「価格が安め」の2点ですが、都内では、たとえ旗竿地であっても強気の価格で売り出されていることが多く、価格が大きく変わらないのであれば、整形地が出るまで待つことをおすすめします。
騒音の問題
自宅用の土地であれば、静かな住環境は欠かせません。土地を選ぶに当たって、騒音問題は最も重要な要素です。
幹線道路沿い、線路道路沿い
幹線道路や線路道路沿いはうるさいので、買ってはいけないというのは皆さん理解されていると思います。たとえ安くても、RCで建築するとしても、自宅用としてはお勧めできません。また、道路や線路からどれくらい離れているかも考慮にいれましょう。
飛行機の通り道(羽田新航路)
羽田空港へ離着陸するための新航路は、都心をもろに縦断するので経路の確認が必要です。コロナ禍で大幅に減便した2021年ですら、年間4千件の苦情が寄せられており、国土交通省は騒音対策のため、離着陸の方法や高度など模索しているものの、解決するわけがありません。
コロナ禍が明けて、旅行需要が回復するに連れて、増便に次ぐ増便になりますので、必ず経路を確認し、航路の直下はもちろんのこと、高度と距離が土地からどれくらい離れているかしっかりと確認しておきましょう。
ちなみに、新飛行経路については下記のサイトに示されていますが、飛行機ですのでこの通りに飛ぶとは限りません。実際に、私の目視の限りですが、「結構航路からズレて飛んでるなー」という飛行機もあり、距離は多めに取っておくに越したことはないでしょう。
そして、この苦情の多さを考えると、国土交通省が発表している騒音レベルの資料はあまり信用できません笑。
準工業地域や近隣商業地
土地は用途地域が13に分けられており、住宅や小規模な店舗しか建築できない地域や、工場やパチンコ屋などが建てられる地域など、用途規制がされています。
準工業地域に限りませんが、近隣商業地域や第1種住居地域、第2種住居地域などに土地を購入する際には、近隣の状況をチェックして、騒音問題が起こらないかを将来に渡って予測する必要性があります。
準工業地域では工場も建築できる用途地域ですので、ある日、自宅の隣に工場を建設されたとしても文句を言えません。
古いビルやマンションの隣では、現時点では騒音問題がなくても、近い将来に建て壊しや改築で大きな騒音が2年程度続くと予想しておく必要があります。同様に、駐車場の隣はしょっちゅう車の出入りがあり、騒音に悩まされることになります。
災害や土壌汚染
海抜の低い土地の場合、ハザードマップを必ず確認しましょう。
また、古いクリーニング店やガソリンスタンド跡地では、土壌汚染されている可能性があるため、土壌の調査を行うようにしましょう。
建築条件付きの土地
建築条件付きの土地とは、建築業者が売主の土地であり、購入した場合に、その建築業者に依頼して家を建てなければならないと定められた土地です。
建築条件付きの土地のメリットはほとんどありません。最も大きなデメリットは、建築でぼったくられる可能性が非常に高いということです。
相見積もりをすることすらできず、その会社一択で建築を進めなければならないため、相手の言い値で建築費用がかかってきます。建築条件付きの土地はおすすめしません。
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